1998年の独り言(後半)

by 梶井厚志


1998年12月某日

 

一年のまとめ:

 

論文リストを改定していて、今年は論文4篇が出版されていることにきづきました。これは自己新記録です。しかしながら、これらの論文を今年書いたのではありません。中には1991年に書いて、その後出版先を見つけられずにさまよいあるいたものが、ようやく日の目を見たものもあります。足掛け7年かかったわけですが、実はこれは自己新記録ではありません。

 

専門論文以外では、何といってもM井さんと書き始めた経済セミナーの連載ですね。出版社の好意により、われわれの自由な発想で新しいタイプのミクロ経済学の「教科書」にして良いということで、元気よく始めたのですが、これは思ったよりはるかに時間のかかる仕事です。正月休みには原稿を書かなきゃ。


1998年12月某日

 

2学期には授業担当がなかったので、10月にYale大学、11月に Australian National Universityに行っていました。担当授業もなく、学生に戻った気分で勉強できました。

 

Yaleでは、共同論文を書いたことのある(ている)人がたまたま3人(Gottardi, Morris, Polak) もいて、朝から晩まで休むまもなく頭を使っていたという感じ。普段つくばにいるときに、何と怠けているのかと、逆にがっかりもしましたが。困ったのは研究発表で、3人も共同研究者がいると、その共同研究のテーマのどれとも重ならないテーマで発表するのは至難の業でした。

 

ANUではかつての同級生Simon Grant氏と共同研究。オフィスが彼のオフィスの向かい側で、こちらも毎日学生気分で話ができました。ちょうど筑波から留学中のH田嬢もいたので、博士論文の進行具合もチェックでき、こちらも有意義な旅になりました。

 

そして筑波に帰って20日あまり。どうも脳死状態です。


1998年9月某日

 

「にがうり」という野菜があります。沖縄では良く食べるというこの野菜、きゅうりの先端を少し細くして中ほどを太らせて大きくして、表面のイボをもっとごつごつさせたような形をしています。ラジオで、夏はにがうりに限る、というような話を聞いて、そんなにうまいものかと気に留めていたところ、ある日近所のスーパーでひとつ198円で売っているのを発見してすぐさま買い求めました。切って中の種を取って、薄切りにして食べてみると、かみしめた瞬間になんとも言えない苦みが口中に広がります。よくこんな物を食べるやつがいるものだと、最初は驚いたものの、三日もたつとそのさっぱりとした苦味が忘れられず、また買いに行ってしまいました。薄切りにして醤油をかけてもよし、豚肉といっしょにいためてもよし、今ではすっかりにがうり依存症になっています。

 

追記: オーストラリアはキャンベラの町の中心にあるスーパーで、にがうり発見! つくばで見たものより大きくて、2本で200円くらいでした。


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