2025年1月某日
こんな夢を見た。
何年か前に、公用語が新言語に切り替わった。新言語には、「てにをは」や丁寧語・敬語がない。それゆえ新言語の文章は、旧言語で育った自分には、読んでも聞いても妙な漢文のようでわかりにくい。しかし、いまの若者たちには大歓迎されているというのが文科省の公式見解だ。
新言語に切り替わった理由は、以下のようなことだった。 生成AIは、人間が書いた文章をトークンに分解し、トークン間の関連を推測しつつそれらを組み合わせて文章をひねり出す。そのため、状況によってトークンが対応する意味領域が異なってしまうと齟齬が生じる。ところが「てにをは」や丁寧語・敬語は、まさに状況に応じて意味領域が異なるものだ。それが日本語をあやつる生成AIが人間の能力を超えられない根本的な原因であり、日本の成長を阻害している。それで発想を完全に逆転し、生成AIが関連を誤りなく推測して操れるようなトークンの構造をAIに作成させ、人間用の日本語をこのトークン構造に対応させてつくってしまおうというのが新言語の発想だ。
確かに、新言語に切り替わってからはAIのほうが人間よりも賢くなったようだ。経済成長率も上昇した。だが、それで果たして幸せになれたのだろうかと思案していたら、目が覚めた。