2000年の独り言

by 梶井厚志

 


2000年12月某日

H大学のS教授より教えてもらいました.世界の経済学者ランキング?Atsushi Kajiiでそれぞれのランキングを検索してみてください.修正論文数では21位に入っているぞ!!(^o^)/ 持つべきモノは,勤勉な共同研究者です.まったく.

これで給料上がるか?まあ,関係ないだろうなぁ. 

ところで,この表によるとJapanはChinaの一部かのごとき表記がしてある.愛国者である私は,憮然としてページの作者本人に問い合わせて見た.すると,なんとChinaでアジアを代表している,すなわちAsiaと書く代りにChinaと書いたんだと.やつは絶対アメリカ人だね.正式な原稿では修正したと言うが,そういうセンスの持ち主が計算したとすると,悲しいかなランキング自体の信憑性も揺らいでしまうようです.


2000年12月某日

「銀座の飲食店でビールが高いのは,銀座の地価が高いから」なのだろうか. これは,いろいろな人がとりあげるので,人気のある「身の回りの経済学」の例なのであろう(注1). 某氏のエッセイでは,ビールの高いのは地価とは関係はなく, 「その高い値段を払ってもいいバカがいるから」であると説明され, それに加えて, そもそもこのようなナンセンスな質問が出る裏には日本人の(日本の経済学者の?)レベルが低いからというような論調で,他にも例を続けてあった.

ちょっとほほえましいのは,「その高い値段を払ってもいいバカがいるから」と言う説明も,よくかんがえるとちょっとおかしい.まあ,歯切れのよい論調を保つために,意図的に書かれたことなのだろう.たまたま,似たようなことを学生から質問されたので,一言書いておく気になった.

なぜちょっとおかしいかというと,例えば次の例を考えてみるとわかるのではないか. 2002年のワールドカップの決勝を,筑波大学のサッカー場(収容観客人数数百人)で行うとして, その入場券をすべて市場で販売したとしよう.1枚あたり数百万円で取引されても,驚くにはあたらない. 世の中には,私財をなげうちニョウボ子供を質に入れてもサッカーを見たいバカがけっこういるのである. 一方,横浜の大きなサッカー場(名前は何だっけ?)でやるとして,入場券を市場で売却した場合, おそらくは数万円と言う価格がつくであろう. 少なくとも,つくばでやるのに比べれば,ずいぶん安くなるはずだ.

値段が安くなるのは,つくばに存在していた数百万円も払う用意があるバカどもが, 横浜ではどこかに消えてしまうためだろうか.そうとは考えにくい.

つまり、物の値段は「買うバカ」だけではなく、「売るアホウ」の事情も考えなければならないのである.

(注1)しかし,そもそもなぜこれが身の回りの例として成立するのだろう.私はそんなところでビールを飲んだことはないぞ


2000年12月某日

今年も,来年度の卒業研究指導の学生の選考をする季節になってきた.社会工学類では卒業研究指導の期間は1年間で,その間に研究論文を仕上げることになっている.

しかし,現状は4月から夏休みころまでは学生は就職に忙しく,研究ゼミなどが機能するのは9月以降である.これでは,せっかく研究室/ゼミと名をうって学生を集めても,研究室/ゼミが有機的に機能することはないから,学生同士でも研究室の連帯感など生まれないのであろう.

なぜそんなことを言い出すかというと,私の場合,大学時代のゼミは2年間で,卒業後も定期的に顔を合わせて情報交換するのは,ゼミの仲間がほとんどだからである.学生時代につくったこの関係はとても貴重なもので,何物にも代えがたい.

そんな思い入れがあるから,ここでも学生を3年生のうちから組織できないか,と赴任時から考えていて,いろいろ宣伝もしているのだが,学生が来たことはない.まあ,これは自分の経験にゆがめられて,余計なおせっかいをしているだけなのかもしれないが.

 


2000年12月某日

ここのところ,コンピュータの調子が悪かった.というのも,使っているうちにだんだん「疲れてきて」,アプリケーションの動作が遅くなり,しまいには動かなくなってしまい,毎日昼過ぎには再起動を余儀なくされるような状態になった.ウイルスなども疑って見たが,ウイルスソフトでは検出されない.同時に,多くのアプリケーションを開きすぎ,と言う指摘もあったが,それが出来ないのではウインドウズの意味がない.これはWINDOWS98の欠陥か,WINDOWS2000に代えようか,などと思い悩み,まあ,代える前にその前にconfig.sys などのシステムファイルや,レジストリの微調整をやってみようということで,ちょろちょろいじっているうちに,こんどはコンピュータが起動しなくなってしまった.

仕方がないので,再セットアップを行うも,その際もエラーメッセージがでる.とりあえず,立ち上がるようにはなったので,何かと思ってエラーのログを読むと,どうも常駐ファイルが悪さをしているらしい.そこで昨年から使っていたNORTONのシステムワークスを削除してみた.

すると,快適快適.かつて見られたアプリケーションの疲労はほとんど感じられないし,フリーズすることもほとんどなくなった.NORTONのシステムワークスは,素人には難しい,システムを最適に保つ作業を自動的に行うといううたい文句を信じて導入したのだが,どうもこいつが犯人だったらしい.皮肉なことだ.

コンピュータに限らず,どうも自分では中身がわからないブラックボックスが身の回りに増えてゆくご時世だが,意外なところに落とし穴があるものである.


2000年12月某日

5ヶ月ぶりに授業をやった.のどがいたい.


2000年11月某日

来週から講義かぁ.夏休みも終わりだ.


2000年11月某日

新聞各紙は,建設省が建設しても交通需要の増大が見込めない複数の地方都市間を結ぶ高速道路の建設に,税金を投入する方針を固めたと報じている.

追記: それでも,公共事業の見直しが,少しは進むみたいですね.


2000年11月某日

1240 = このたび行われたつくば市市議会議員に当選するために必要だった得票数. 参考:つくば市の人口は16万人強,有権者の数は10万人強.

詳しく調べたわけではないが,岐阜県の選挙事情に詳しいTさんとの会話から判断すると,この数字は,地方自治体の選挙としては標準的らしい.1240人と言えば,例えば,筑波大学で一致団結すれば,一人くらい市会議員にできると言うことだ.これを,議員が多すぎると判断すべきなのだろうか.それとも,誰にでも市会議員になれると言う可能性を保証することで,地方自治の住民参加と民主主義の精神が保たれていると見るべきなのだろうか.


2000年11月某日

旺文社は大学受験「全国模試」を止めてしまうそうです.受験者の減少が原因だとか.私は旺文社のラジオ講座と全国模試で受験勉強をしたので,何かさびしい気がします.


2000年11月某日

Yahooから非常に不誠実な対応を受けたため,Yahooにある私のページへのリンクを削除しました.その他の商業サイトにあるリンクも削除を検討中です.皆様,ブックマークをお忘れなく.


2000年11月某日

社会工学系のホームページにあった私のページへのリンクが消滅しているとの指摘を受け,調べて見ると確かになくなっていました.これは社会工学系のホームページの改変にともない,リンクが一新されたためであると思われます.私の職が変わったためではありません(しかし,その予兆か?).そのうちつけてもらいます.

追記:その後,リンクが張られました.


2000年11月某日

小学校で20人学級を実現するためには毎年1兆円規模の支出が必要との試算があるそうです.そんなにかからないと言う意見もあるようですが,それでも消費税を1%くらい上げれば十分まかなえますね.ちゃんと払ってくれればだけど.

確かに小さなクラスだと教え易いし,それだけ行き届いた教育ができるでしょうから,そこからくる社会的利益はありますね.しかし,費用に見合った効果があるのかが問題です.すると,教員20人学級実現により実現するであろう将来の利得をどのように評価するかが問題になりますが,すくなくとも感覚的にはにわかにはわかりかねますね.効果があるからと言って,じゃぶじゃぶお金を使ってはいけません.

それではまったく費用対効果が感覚的にわからないかと言うと,そうでもありません.一つの方法としては,相対的な投資の効果を見ることでしょう.つまり,国はいろいろな社会投資をしているわけですが,それらの投資の費用対効果と比較して,相対的に分がよければ20人学級をやってもいいのではないか,と考えようというわけです.

さて毎年1兆円規模の投資を平成12年度の基準で言うと,各省庁でしている海外援助金(ODA)の7割くらいを止める,防衛関係でいえば在日米軍経費のうちわが国が負担する年間金額の約2倍,建設省で平成12年度に北海道縦貫自動車道と北海道横断自動車道の建設に費やした工費の2倍弱,農林水産省関係であれば農業農村整備事業費,くらいらしいです.これらの効果と20人学級の効果がどちらが大きいのか.もう少し比較の対象を増やすために,万国博覧会,常磐新線や中部国際空港に換算すれば…悲しくなるので止めとこう.

 

(注記: この部分は2002年9月2日にアップデートしました)


2000年11月某日

M井さんはアメリカで授業をやっている.そのほかにもけっこう楽しんでいるようだ.この人はすごいね.向こうからページもアップデートしてるし.

Return of the Professor10月某日の記述で思い出したこと.1980年代後半,アメリカの景気低迷,日本はバブルで浮かれていたころ,アメリカの某有名大学の学生に以下のようなアンケートをとったそうです.(本物のアンケートと数字は少し違っているかもしれませんが,主旨は同じです)

シナリオ1 世界のGDPは平均年1パーセント上昇,日本のGDPは年5パーセント,アメリカのGDPは年3パーセントで成長

シナリオ2 世界のGDPは平均年5パーセント上昇,日本のGDPは年1パーセント,アメリカのGDPは年2パーセントで成長

ほとんどの学生がシナリオ2の方を好んだそうです.


2000年10月某日

東京都郊外に一軒家を構えるサラリーマンのA夫さんの場合,年収は600万円,子供二人を抱えて,妻のA子さんのパート収入100万円がなければ,ローンが払いきれなくてたいへんだ.

同じく東京都郊外に2LDKのアパートを借りているサラリーマンのB太さんの場合,妻のB美さんとの共働きでともに年収300万円,子供二人のためになんとかもっと広いアパートに移りたいと願っている.

問題:A夫さん一家とB太さん一家では,どちらが租税負担(所得税プラス社会保険(年金,健康保険))が大きくなるでしょう.

さらに,東京都郊外の自宅で商店を経営している自営業のC郎さんの場合,妻のC恵さんは子育てにおわれ店の手伝いはできない.幸いにも,店の営業は好調で,年収は600万円程度になりそう.

発展問題: さて,A子さんとC恵さんとではどちらが租税負担(所得税プラス社会保険(年金,健康保険))が大きくなるでしょう.

追記:さらに興味深いことには,会計検査院によれば,サラリーマンの妻らで,実際は130万円以上の所得があって,保険料を払う必要のない国民年金の「第3号被保険者」の資格外である人々から徴収されなかった保険料が昨年度からの2年間で総額2億7000万円に上っているそうだ.さらにしつこくコメントすると,この2億7000万円には実際は130万円以上の所得が発生していたものを,何らかの創造的な手段を用いて130万円以下の所得と申告(無申告?)している人たちは考慮されていない.


2000年10月某日

最近の中高生へのアンケートで,「責任のある仕事につきたいか」との問に,NOとの答えが多いらしい.日経新聞ではこれを子供の気力の低下,学力低下問題に結びつけていたようだったが,もし「責任のある仕事につきたいか」がまさに問の文章だったとすれば,NOという答えが至極当然に聞こえるのは私だけだろうか.

「えっと,見返りはぜんぜんないんだけど,うちでは前からこういうふうにやってきたから,君もこれを責任持ってやってね」という主旨の「お願い」がまかり通っている世界で,責任のある仕事につきたいと考える人こそどこかおかしいのではないか.

「責任はおもいが,見返りとして所得も高くなる仕事と,責任は全然ないが所得もド底辺になる生活と,どっちがいい?」と聞かなきゃね.


2000年10月某日

大学4年生になる春休みに,ヨーロッパを40日間旅行した.アルバイトしてためた金を握り締めて行ったのだが,当時は1ドルが200円以上する時代で,予算もぎりぎりであった.夜は電車の中で寝たり,ユースホステルを使った.着替えを1セットだけ持って洗濯しつつ旅をしたので,荷物は小ぶりのリュックサック一つで,しかもお土産にきんぎょ鉢の一つでも入るくらいの余裕があった.荷物が多くなると金がかかるものなのだ.その後何度も海外に行くことあり,また海外に9年間住んでいたこともあったわけなのだが,記憶にはっきりのこっている旅行の出来事というと,このときの極貧旅行ものが多い(あとはその前に旅行したソビエト(1999年2月某日参照)).スーツケースを持って空港からまずはホテルへ,という旅行をするようになってはもういけない.今となっては,かけがえのない経験である.

当時は,このような格好で旅行している日本の男子大学生はそれほど珍しくなかった.正確に言うと,ヨーロッパを旅行している日本人の学生はたいていこのスタイルであったと思う.ところが昨今はとんと見かけない.これはわたしの旅行のスタイルが変わって、そのような人がいる場所へ行かなくなったためかとも考えたが,アジアの学生風の人がリュックサックをしょっているのはやはり見かけるので,やはりそのような日本人学生が減ったと考えるべきなのだろう.ちなみに現在そういった風貌でたくましく旅をしている男の子たちはたいてい韓国人である.

一方,女の子がリュックをしょって歩いている風景は,以前はほとんど見かけなかったが,最近はけっこう見るようになった.こちらのほうは,アジアの学生風の女の子がリュックサックをしょって旅行しているとすると,それはたいてい日本人である.ローマのスペイン広場の前に広がる[ブランド通り」でむさぼるようにお買い物をしているのもやはり日本人の女の子であるが.

 


2000年10月某日

筑波の大通りで,時速100キロで疾走する車を見つけるのは難しくない.我が家の周りには小中高校が集まっているが,そこでも登下校の際には子供を送り迎えする親が60キロを超えるスピードで走り回っている.制限速度は30キロだが,これを守って走るのは筑波では私ぐらいのものであろう.フットサルの朝の練習の帰りのときはいつも登下校の時間にぶつかるのだが,今日はお子様を送り届けようとお急ぎになっている方に警笛をならされてしまった.

一方,筑波では,右折しようとしている車が,対向車との距離が私の感覚でははるか遠くに位置していても,容易に右折しない.筑波の運転手が手堅い運転をすると感心してはならない.これは,筑波で車を運転するひとは,他の人も制限速度の2倍で走ると予測して運転をしているからである.

横断歩道で人が横断しようとしていても,絶対に止らないのが筑波のしきたりである.私はつい止ってしまうのだが,そのたびに耳の後ろでタイヤのスリップする音を聞くのはあまり気持ちよいものではない.もっともこれは日本全体での傾向ではあるが.横断歩道で待っていた人はこちらに会釈して渡っていくのだが,何だか釈然としない気分になるのは,私だけなのだろうか.

日本人は礼儀正しいので,日本では,道を横断する人は,まず土下座をして通行中の車の許しを請い,車が止ってくれたならば,運転手に感謝のキスをするのが習慣になっているのだと,とあるパーティー(@アメリカ)で発言したらずいぶんウケたことがある.私はけっこう事実に近いと思ったのだが.


2000年10月某日

最近は,トップページではなく,私の講義スライドのページのアクセスカウントをとっています.(2000年2月某日参照)直近の1000ヒットの内訳は

リモートホスト 件数 割合
*.ocn.ne.jp 45 4.5%
*.mesh.ad.jp 42 4.2000000000000002%
*.katch.ne.jp 39 3.8999999999999999%
*.infoweb.ne.jp 35 3.5%
*.odn.ad.jp 26 2.6000000000000001%
*.so-net.ne.jp 25 2.5%
*.u-tokyo.ac.jp 19 1.8999999999999999%
*.dion.ne.jp 16 1.6000000000000001%
*.saitama-u.ac.jp 15 1.5%
*.senshu-u.ac.jp 15 1.5%

筑波からは

*.tsukuba.ac.jp 4 0.40000000000000002%

ま,そんなもんだよね.


2000年10月某日

筑波で教え始めたのは1996年の12月からなので(形式的な赴任は7月だったが),この12月でちょうど四年間教えたことになる.ペンシルバニア大には5年間いたが,そのうち1年はベルギーで休んでいたので,いよいよその記録を更新することになる.だからどうだというわけでもないのだけど.


2000年10月某日

イタリアに行って3週間ほど留守にした間に,留守番電話に30以上のメッセージがたまっていた.たいていのメッセージが,不誠実な対応に対する非難で,中には立腹のあまりか,悪態をつきまくって電話をたたきききった方(女性)もいた.

このように書くと,私はなんとひどいやつなのかと思う人もいれば,大学の先生なのに,イケナイ課外活動が多すぎるのではとかんぐる方もいるかもしれない.実は,これらはすべて間違い電話なのである.たまっていたメッセージの中で,私あてと思われるのは1件しかなかった.

なぜ私の研究室に間違い電話がよくかかってくるのか.それは研究室の電話番号が筑波大学病院のどこかの受付番号と一つ違いであるためらしい.昼間もよくかかってくる.だいたい,私のところにかかってくる電話の三分の一は大学病院関係の間違い電話である.(もう三分の一はマンション経営と商品先物をやらないかなどの勧誘)

それにしても,今回のメッセージの量と,その内容は過去に類を見ないものだった.大学病院の度重なる不祥事とも関係があるのだろうか.中でも圧巻だったのは,おそらく同一人物と思われる女性で,この人はある1日の間に5回ほどメッセージを残していたが,毎回毎回ちゃんと「こちらは梶井研究室です…」とのアナウンスが流れるのに,最後の方になると,「○×先生(名前は伏せます)に伝言をお願いしているのに,一向に連絡がありません.そのような不誠実な対応がつづくならばこちらにも考えが…」などというメッセージが入っている.かけている方はすでにかなりアツクなっているのであろう.電話のリダイヤル機能も問題だ.一度間違えた番号を入力すると,おそらくその日のうちはその番号を使いつづけたのだろう.実際,留守電の記録ではこの人からのメッセージはある1日に集中していた.

こちらには対策のとりようがない.急患だったのかもしれないが,大丈夫だったのだろうか.

対策といえば電話番号を変えることぐらいだろうが,いまさら人に連絡するのは面倒だ.それに大学のことだから,どの道この番号はいたいけな新任教員に振り分けてしまうのだろう.それもまた不幸の手紙を送るようで気が引ける.そんなわけで,この番号を4年間も使いつづけている.


2000年10月某日

中東情勢を憂慮しつつ … やっぱやめておこうかなー.来月イスラエルに行くことになっているのだけど

追記: やはり中止しました.11月は暇になったので,国内でいろいろ旅をしようかと思案中です


2000年10月某日

今年も先月ベニスに行って着た.我が研究室は,9月には冷房をきられてしまうので(冗談ではない),毎年9月は海外に行くのを通例としているが,ここ数年は,ベニスだ.

ベニスに行けるのは共同研究者がいるためで,ありがたいことだ.毎年小さなアパートと,学内に研究室を用意してくれる(もちろん冷房つき − ただしベニスの9月はそんなに暑くないのでほとんど必要ないが).

さて,ベニスでどのような生活をしているかというと,大体こんな感じ.8時ころ家を出て,近くのBarでカプチーノを一杯(1800リラ(注1))と少し甘味のあるパン(なんと表現したら良いかわからない)一つ(1400リラ)を食べる.S. Stae というボート乗り場まで徒歩3分,ボートに乗って大運河の向こう岸のS. Marcuola まで.ボートは向こう岸までだと3000リラ,それ以外は6000リラでちょっと高い.私は頻繁に行くため住民用の定期券を買っている.つくばでは定期券を使っていないのに.さらに運河沿いに10分歩き大学到着.もって行ったコンピュータをつかってネットでニュースを見る.(注2)その後,少し読書.1時ころ昼食.行きつけのレストラン(食堂といった方が良いか)まで徒歩2分,かの共同研究者と出かける.パスタとコーヒー.10000リラ.午後は彼といろいろ話をして過ごす.こいつは非常に熱心なやつで,興が乗ると7時過ぎまで放してくれない.帰宅は7時から7時半ころ.

というわけで,これほどの観光地に行きながら,観光名所にはまず足を運ばない.ベニスにいったのは8回目だが,観光客の聖地とも言える S.Marco広場に立派にそびえる S. Marco教会にも,まだ一度も入ったことがない.しかし,ここが私にとってのベニスの見所ではないから,まあそのうちに一度は行くかな,と思って,今年も入場を待つあの長い行列には加わらなかった.

それではベニスの魅力とはなんだろう. 研究環境もそうだが,中世の町に飛び込んだような,あの感じ.運河にのってゆったりと時間が流れるようなあの風景は他では味わえない.それに音 − そう,あの音がまたいいのだ.車はないので,時おりするボートの警笛と水の音,その他は足音と話し声だけ − 人間の音にみちている.車のない都市生活が,これほど快適であるとは,ベニスに住まないと想像もつかないことだ.ベニスにいるとわすれてしまった人間の感覚を,取り戻せるような気がする.そこが一番良い.頭の回転にも,心地よい刺激になるのだ.

 

注1:2000年9月現在 1円=20リラ, 1000リラ=50円.ユーロはおどろくほど安い.

注2:シドニーオリンピックの情報もこれが頼り.時差の関係で放送は深夜から午前中一杯だが,なにせ日本は注目されていないから良くわからない.それにボートとフェンシングを熱心に放送していたため,日本はどうなっているのかテレビで知ることは不可能に近かった.


2000年8月某日

今年の大学1年生には,私が大学1年になったときにはまだ生まれていない人々です.共感できることは,やはり少ないのかな.

M村くんのページから,以下の記述を見つけました.(この人のページはなかなかコクがあって面白いのでお勧めです.)以下無断抜粋:

「わ〜がま〜ま〜は〜、男の〜罪♪そ〜れ〜を〜許さないのは女の罪♪」なんて歌が昔ありましたね。友達はこれを聞いて「あぁー、昔は男がワガママできたんだなぁ」と思ったそうです。

大学生ではなく,世の中全体が変わったのですかね.

男は昔はわがままできたのでしょうか.H橋大学のO橋さんは,われわれがボストンで留学生活を送っていたころ,突然わたしのことを評して,「梶井さんもずい分丸くなりましたねー.苦労はするもんですね」と感心しておっしゃいました.学生のころはよっぽどひどかったらしいです.はい.

わがままはむしろ「幼さ」の現れではないでしょうか.再びM村くんのページからの抜粋

さらに、彼のそのつぶやきを聞いた他の女の子は「今って男と女逆だよね」といったそうです。

すると,昔は男が幼かったのが,今は女の方が幼くなったのでしょうか.

しかし,ここは戦略的に考えるところでしょう.ある人がわがままできるのは,万が一関係が壊れてしまっても,他で十分満足できるものが探せるからです.「相手がいなくても,自分は他で十分楽しめる」人ほど,現在の関係の中で相手に譲歩を迫ることができるのです.言い換えれば,他では十分満足できるものが探せない人ほど,相手のわがままを許さざるを得なくなるわけです.(「戦ミク」第4章参照)

と考えると,上記の逆転現象が起こるのは「君がいなくても,オレは他で十分楽しめるのさぁ」が,「あんたがいなくても,私は十分楽しめるわよぉ」よりも,説得力を持たなくなって来たためではないでしょうか.

そうなの?


2000年7月某日 

ネットで発見したこのBASなる大学生主体の団体.彼らの曰く「BASとはビジネスを楽しいと感じる学生ケーススタディを通して自主的に学習するである」というコンセプトは,このような活動が筑波でもないものかと日ごろ思っていただけに感心しました.さらに同ページで公開されているケーススタディーのレベルの高さに感銘を受けました.

私は常々,「資産取引」の実験を学生を動員していろいろな角度からやりたいと考えていて,ここ1年近く宣伝していますが,肝心の学生からの反応はさっぱりです.教育効果が高いので実習の講義で私が自力でやっているのが現状です(ただし,かなり消耗するので来年はどうしようかと悩んでいますが).実験自体はたいへん盛り上がるのですが,それをもう一歩進めて勉強したいという学生は,残念ながらいまのところ現れていません.

また,同じ実験を,大学生だけではなく,高校生やいろいろな分野の社会人で試したいという欲求もあり,実際,いくつかの高校宛にお誘いの手紙まで出したのですが,反応は皆無です.

実験はWEB上で行えるので,人をつくばに集めなくてもできるというのが大きなメリットです.実際,3月には早稲田と筑波との合同でやってみました.ただし,そのときも仕切ったのは私と同業の研究者ばかりでした.同業の人たちと仕事をするのももちろんよいのですが,どうしても「研究」ということになると,実験の細かなことや,学会で知られている既存の結果などが気になり,自由な発想ではできません.

やはり,それを楽しい,追求したいと考える学生が自由な発想で自主的にやるのが一番だと思います.素人さんは,こちらが想像だにしなかったことを平気でやってしまうものですが,おそらくそこから私が学べることがたくさんあるのだと思っています.

ですから,BASのような団体は,ぜひ応援して行きたいものです.ビジネスというテーマだけではなく,広く社会・経済・法律の分野を題材にしてこのような活動が広まれば,と感じたしだいです.

 


2000年7月某日

卒業論文の課題にいかがでしょう.課題「このビジネスモデルは機能するかどうか,論ぜよ」


2000年7月某日

K大のGさんは,顔を合わすたびに私の研究室はいつも女性であふれているとの発言をする.どこでどう間違ったのかは知らない.だれかが妙な情報を吹き込んだのであろう.

Ariel Rubinstein 氏は,学会出席のために香港に立ち寄った.遠路到着し,時差ぼけと戦いつつ荷物が出てくるのを待っているときに,見覚えのある人物がキャセイ・パシフィックのフライト・アテンダント(女性)と香港の空港から仲良く立ち去ろうとするのを目撃した.そんな馬鹿な,と目をこすりこすり何度も見たが,その人物は私にとてもよく似ている,いや似ているというよりは本人に間違いないように思われる.声をかけようとしたが,もしやと思って,思いとどまった.翌日,学会で私を見かけたとき,私も出席することをしらなかった彼の疑問の一部が氷解した.やはり,空港で見たのはこいつだった.しかし,もう一つの疑問は解決しない - なぜ,フライト・アテンダントと…そしてあの後何を….

この話には当然落ちがあるのだが,ここでは公開しない.Rubinstein 氏は私の説明に納得してはいない様子であった.このようにして,妙な情報が生成されていくのであろう.

追記:香港市立大学のセミナー室はこんな感じでした.写っているのは発表の準備をする Roger Myerson 氏です.本学のセミナー室は恥ずかしいので掲載しません.


2000年6月某日

最近ショックだったこと2点:

M井先生はどうやら講義の方法に関してサトリを開いたらしい(彼のページ参照)こと.一方,私は今年も6月病である.12月まで講義はやりません.

ついにヒットカウントでM井先生のページに負けそうなこと.一方,私の「講義で使ったスライド」ページのアクセス記録を見ると,*.u-tokyo.ac.jpが最大である.どうも,彼のページの一部分になったらしい.

追記: 抜かれました.しかも,私の方のカウンターは故障して動かなくなった.

追記2: カウンターを削除しました.まあ,所期の目的は達したので


2000年6月某日

「ミク戦」第8章にでてくる「ないた赤鬼」という表現に,「なんだこれ」という反応をした君へ.この名作を知らないようでは教養の程度が疑われますよ.以下のページをみてよく勉強しなさい。情報1情報2

ココロノ ヤサシイ オニノ ウチデス

ドナタデモ オイデクダサイ。

オイシイ オカシガ ゴザイマス

オチャモ ワカシテ ゴザイマス


2000年6月某日

初版第一刷分の印税が入金されました.よかったよかった


2000年6月某日

この商売を始めて以来,自分の担当する入門講義では何がしかの形で「実験」を取り入れている私ですが,いわゆる「実験経済学」の専門家ではありません.むしろ,実験経済学という分野が現在向かっている方向には,否定的な意見を持っています.なぜそうなのかを説明するのはちょっと大変なのでまたどこかで書くとして,以下W大学のH田さんからのメールを(勝手に)編集引用しながら,私がなぜ経済学の講義に「実験」を取り入れてきたのかを少し説明しましょう.

「私の方では、W大の授業で、Bergstrom & Miller の教科書を使って、3講義に1回の割合で実験をしています。講義で実験をしてみて分かったことは、「とにかく
講義が盛り上がる!」ということです。学生が経済理論を実感と
して学ぶようです。

こうした盛り上がりをみて、逆に理論だけの講義を行うことに最近
大きな疑問を感じるようになってきました。高校までの生活で現実の
経済体験のほとんどない大学生に、経済学の理論を教えようとしても
そもそも無理ではないかという気がします。もちろん、将来大学院に
行く人は別でしょうが。」

後半の部分は,まさに私が感じることでもあります.学生に経済学が難しく感じられるのは,その抽象性にあると私は考えています.(講義向けのスライド参照)経済学が,複雑な対象を理解しようとする学問である限り,「抽象化して考える」ことは必須なのですが,その抽象性を違和感なく受け入れられるには,現実対象に関する経験が必要になるでしょう.言い換えると,抽象化されているものの元になるものに関しての経験を,ある程度つんでいないことには,なぜそのような抽象化がなされているのかが理解できない.その結果,「まあ需要と供給の交点を求められれば試験は何とかなる」とか,「固定資産税は国税か地方税か」などの知識をただただ覚えるだけになってしまうのではないでしょうか.


「多くの人にとっては、体験がないことを抽象的に理解するのは
むずかしい面があるように思います。野球をしたことのない人に
野球理論を教えてもきっと何のことかわからないように、経済体験の
少ない大学生に経済理論を教えても何のことかわからないのでは
ないかとおもいます。

10年ほど実社会で仕事をして、その後大学院に戻ると経済学
の講義がよくわかったということを耳にすることがありますが、
これはその裏返しでしょう。

その点実験は、学生が少なくとも「模擬経済体験」を行えるという
有利さがあります。何の理論も知らない自分たちがとった行動が
後で理論によって見事に説明されることを知り、学生たちは
非常に驚いています。「へーえ、理論ってあたるものだなあ」と
いって感心しています。」

最後のところが,まさにポイントだと思います.言い換えると,実験をする理由は,学生に抽象化し易い模擬経済体験を与えることです.ですから,そんなに堅苦しく考えず,何が起こっても体験が与えられればよい,くらいの気持ちで,どんどんやるべきだと思います.実際,


「こうした学生への教育効果に加えて、教師の側も楽しめて、講義で
ストレスが溜まらず疲れないという副次効果もあります。」

これにはまったく同感です.準備と整理に時間はかかりますが.


2000年5月某日

大学生の学力低下問題が叫ばれ,本学でもいろいろと対策を,と言うわけでいろいろやっています.しかし,私はこの点に関してはのんきに考えています.以前にも独り言で書きましたが,「学力低下」を体感するには至っていません.自分の学生時代のことを考えると,私の周辺の人々(+私自身)が学問への深い洞察があったか,またいい点をとっても賞金も出ないテストで分数の計算をミスなくやれたかと言うことに自信がないので.

だいたい,大学に残ってこんな商売そしている人々には学問に対する(それがどのような専門にせよ)異常なまでの愛情と執着心を持っていて,それを自分と同じように愛してくれない子供たちには当然はらが立つものなのだと思います.そのうちに愛情が憎らしさに変わって,こんなこともわからんのか,これでもかこれでもかとやってしまうもののようです.(私にもその傾向はありますが)

ペンシルバニア大学のときの「教え方講座」を受けたとき(1997年の独り言参照),そのときの先生が,授業に関しての3つの心得を教えてくれました.まずは,教える内容を自分が熟知すること.次に,学生が何を知るべきかを考えること.最後に,学生が何を理解できるかを理解すること.

最後の点は,いまだにわかりません.ただ,第2の点に関して言えば,高校・大学での経済学教育にはかなり疑問があります.一方で,高校生に何を教えたらいいのか,まだ見当もつきませんが,そのうちに高校生向け経済学入門の本を出したいと考えるこのごろです.

追記: たまたま以下のような内容のメールを高校の先生からいただきました.

「ほとんどの生徒が大学進学を希望しているものの,大学でどんな勉強がしたいの?と尋ねても曖昧な答えがほとんどです。 これは多くの高校生に共通しているとは思うのですが、 なんとか、『○○の勉強をしに○○大学へ行きたい』と言ってくれるように なることを、課題研究の目的の一つにしています。」

私個人としては,高校生の段階で何を勉強したいかの具体的イメージを要求するのは難しいし,特に経済や商業の場合,それは無理だし,意味もないのではないかと思っています.私自身を振り返っても,高校時代にもっていた「経済」に対する感覚と,私が学んで信奉する経済学とはかけ離れていたと思います.ですから,やりたいことは大学に入ってから見つけるという態度でもかまわないし,本来,総合大学というところは,それを前提として教育すべきだと考えています.

ただし,日本の制度では,高校時代にはっきりしない人は、大学に入っても失望する人が多い,というのはの現実だとおもいます.ですから,高校での教育の現場にいらっしゃる先生方が,学生に確固たる目的を持たせて進学させようと努力される気持ちはわかるつもりですし,また,現状の学校制度のもとでは,それがまさに要求されていることだと思います.また,私が理想論を述べたところで制度が変わるわけでもありません.ですから,せめて高校生の人たちに,経済学はこんなにおもしろい学問なんだ,ということを伝えたいという希望を私は強く持っていて,それで「高校生向けの本」などと上に書いたわけなのですが,どうしたらよいかと言うと,わかりません.まず,高校生を知ることあたりから始めるべきなんでしょうね.

追記 その2 ある経済学志望の高校生からのメール

「今日は学校の高3選択についての合同HRがありましたが文系で数学受験はするな,とのこと.あぁらら.思いっきりそのつもりだった私の立場は?としばし呆然でした.あぁ〜でもほんとに数学受験するつもりだったんだけど・・・・・・・.出鼻くじかれた,みたいなそんな気分です.」

このように,大学で教える方も教わる方も不幸になっていくわけです.

追記 その3 上のコメントに早速反応あり:

「僕が大学受験をしたのは1991年から1992年シーズンですが、高校入学時( 1989)から進路指導の先生に,数学ができれば、文系にとって武器になるぞ、しっかり勉強しろ,といわれていました。」

実は,わたしもそんな指導を受けた気がします。数学は苦手でしたが。正確には数学は好きだったが,成績が伴わなかった。計算力がないためなんですね。それで,数3の授業までとったのですが,やっておいて本当によかったと思っています。バルタン先生ありがとう。 (註:計算力のないのは,いまだにそうですが。基本的に,注意力散漫なんですね.ミク戦に間違いが多いことの言い訳)。

追記(2003年某日)

「分数ができない大学生」の存在は、筑波大学では直接には体感はできなかった。 しかし、私の経験したサンプルは実に小さい。 私は学部レベルの講義をもつことはない環境に移ったし、 分数ができない大学院生は、恐れをなして 私のもとになどやってこないから、幸か不幸か今後この種の問題を体感する機会はないのであろう。 学力低下問題の本当の犯人は、全国レベルでの学力調査(テスト)を怠ってきたという事実である。 この問題は、システマティックに経年変化を調査してゆかなければ、結論など出ないのだ。


2000年4月某日

提出された宿題をみて一言。どうして教科書をそのままうつすのかな。頭使ってよ。


2000年4月某日

私のオフィスですくすく育っているこの草.オレガノだと信じて,タネから育てていたのですが,つい先週,M井さんが「これ,ラベンダーだよー.オレガノはもっと葉っぱが丸いとおもうよぉ」とおっしゃる.でも,香りがと反論すると,てにとって嗅いで見て,「やっぱ,ラベンダーだと思うなぁ」とのたまう.私はちがうと思うんですが,逆らえません.というわけで,写真大公開.ご存知の方がいたらご一報ください(直接見学も可)


2000年4月某日

さーあ、でるぞぉ − 「漫画で楽習経済学」

追記:正確には,「経済学超入門」に「漫画で楽習経済学」が入っています


2000年3月某日

一月くらい前のことである.

動物園前で地下鉄を降りて,ジャンジャン横丁の串かつ屋と将棋屋を眺めつつ,前から突進してくる自転車を何台かかわしながら進むと,アーケードをくぐりぬけたあたりに,「名物ホルモン・トーフ」という看板を出したその店があった.カウンターだけのその店の奥では,色よい白髪がみの小柄なおばさんが,カウンター越しに,なじみらしいおっさん相手に,ビールを飲んでいる.血色の良い顔を少し桃色に染めて,「いらっしゃい、なんにしまひょ」と言うその女将さんに,もちろん「ホルモントーフ」を注文する.

あたりを見回すと,長年煙を吸っては磨かれた壁はあめ色に輝き,お品書きの紙も茶色にくすんでコクがある.値段の部分だけは,変わるたびにそこに新しく紙を貼り足すのだろう,本体から浮き上がって白く光る.それにしても,ここ数年は値段が変わっていないようすだ.品物からすると,どうやらここは沖縄風の飲み屋らしい.泡盛(大)280円を頼む.久しぶりに強い酒を飲んだ.

くだんの「ホルモントーフ」は,臓物の煮込みを,これまただしで煮込んだような豆腐の上にかけたものだった.「ホルモン」の語源は何なのだろうか,などと考えていると,奥のおっさんとおばちゃんが,奈良の「おみずとり」について話はじめる.奈良のどこでやるのか,ということで意見がわかれているが,どちらも譲る気はないらしく,あの時ちょうど近所の店の長男が変な女にだまされてなー,といったようなことまで持ち出して,相手の記憶違いだったことを納得させようとする.

「ゴーヤ」があったので,どうやって出すの,と聞くと,湯通ししてポン酢をかける,とのこと.食べて見ると,泡盛でしたがほてっているところに,程よい苦味と酸味がのっかってたいそう都合が良い.

勘定は990円だった.おみずとりはついに決着しなかった.

(追記)大学同窓のOさんによると: 

「(前略) ところで、web pageの「2000年の独り言」にある「ホルモン」の語源ですが、

<引用ここから>
モツだとかタンだとか、豚や牛の内臓を焼いて食べる「ほる
もん焼き」をご存知と思うが、あれは在日朝鮮人が戦後の食
料難の時代に食堂を開いたのがきっかけで流行ったとされて
いる。
 「ほるもん」というのは関西弁で、東京弁でいうところの
「捨てるもの(放るもの)」のこと。日本人が食べないで捨
てる内臓を使って料理にした、というのが「ほるもん焼き」
の語源らしい。
<引用ここまで>
(source:「田中宇の国際ニュース解説」)

だそうです。私も知りませんでした(引用したニュースは今
日配信されたものなので)。」

 


2000年3月某日

「ミクロ経済学戦略的アプローチ」増刷決定!第一刷はもう残り少ないぞ。誤植など、お気づきの点があれば教えてください。

追記: すでに訂正がいくつかあります.目次をご覧ください


2000年3月某日

30000ヒット突破(3月12日ころ)


2000年3月某日

質問: 「ミクロ経済学戦略的アプローチ」を筑波の学内の本屋で見かけません。どこで立ち読み・・いやいや購入できるのでしょうか。

答え: 私も3月9日現在までつくば市では見かけたことがありません.売れまくっていて,筑波まではまわってこないのだと解釈したいですね.

追記:実は,入っていたそうです.大学会館の丸善に積まれていたのが,あっという間になくなったとか.皆様,お買い上げありがとうございました!


2000年2月某日

ついにでました!

ですが、私はまだ書店で見かけたことはないので、ちょっとまだ不安なのですが、各地から情報が寄せられているので、書店にでていることは間違いないようです.その中からいくつかを拾ってみると:

しかし,この情報では売れたのかどうかはっきりしません.そもそも情報提供者本人は立ち読みで済ませた様子.ところが,翌19日,大学時代のゼミの同期生のH君と会ったら、

ちょっと気にかかる発言ですが,しかしここで重要なのは彼は2415円出して1冊買ったというこの事実です!推定時刻2月19日午後3時,ひょっとすると記念すべき第1購入者は彼かもしれないと思い,うれしかったので,神田の焼肉屋において裏表紙にサインさせていただきました.(註:勘定は割勘でした.) 

追記:M井さんからの情報では,「ちなみに18日に本郷書籍部では3冊目撃されているそうです。それが1冊になっていたということだから、最初に買った人は、18日に本郷書籍部で買っただれかでしょう」、とのことです。

また,首都圏以外でも販売されている事実もつかみました.東北大学のA野君の情報では,

著者本人が立ち読みで良い,などという馬鹿なことがあるかと思ってM井さんのページをみたら,確かにそれをほのめかす文章がありました.何か深いお考えがあるに違いないとは思いますが…。A野君は,続けて:

うーん、まだ書店で目撃していないだけになんともいえないですね。今週末に東京に行って書店めぐりをしてきます.ただ,山積み戦略についてはいくつか研究があり,駅の構内やみやげ物売り場で売っている駅弁は高く積めばつむほど良く売れるというデータまであります.おそらく,本もそうなのではないでしょうか.店員でもないのに黄色い本を積みなおしている人がいたら,それはきっと私ですので,声をかけてみましょう.

(追記) その他にも,

などの情報をいただきました.


2000年2月某日

ネット検索の怪:

GOOで 「梶井厚志」で検索をすると,以前は私のホームページが1番上にランクされていたのに,現在はスライドのページになっていた.私のホームページは10位以内にも入らない.

さらに 「梶井厚志 ホームページ」で検索すると,一番上にくるのは

Aki Matsui's HP 99% 

である.インターネットでの検索機能を盲信してはならない.


2000年2月某日

「ミクロ経済学:戦略的アプローチ」の見本が届きました!黄色いカバーで,カワイく出来上がってます.


2000年2月某日

経済セミナーの特集号の、「まんがでわかる経済学の考え方(仮題)」の作業は意外にも(?)けっこう進展しました.漫画を使うと,新しい可能性がありますね.漫画の下書きをみましたが,さすがプロの仕事で,私たちの書いたつたない脚本が,羽が生えたように読みやすく,かつ面白くできていました.楽しみ楽しみ.


2000年2月某日

この時期になると,どこからともなく,3月末までに執行してください,という予算が出てきます.なぜかはここでは詳細には書きません.公務員になればわかります.私は,ちょっとした足し算の間違いから,研究費の赤字が現時点で30万円ほどあるのですが,今度いただけるのは旅費でそれの穴埋めにはつかえないらしい.旅立たねば.


2000年2月某日

アクセス統計をとり始めました。さっきみてみたら、とり始めてから983ヒットを記録していました。その上位10のドメイン名は

*.infoweb.ne.jp 53 5.3899999999999997%
*.so-net.ne.jp 34 3.4500000000000002%
*.odn.ad.jp 29 2.9500000000000002%
*.kyoto-u.ac.jp 27 2.7400000000000002%
*.teleway.ne.jp 25 2.54%
*.musabi.ac.jp 24 2.4399999999999999%
*.ocn.ne.jp 22 2.23%
*.u-tokyo.ac.jp 20 2.0299999999999998%
*.tsukuba.ac.jp 20 2.0299999999999998%
*.fureai.or.jp 19 1.9299999999999999%

です。筑波の学生の場合、*.tsukuba.ac.jp以外のホストからアクセスする場合もあるためか、意外にも第8位タイです。

いろいろな人にみてもらえるのはとてもうれしい。しかし、よくわからないのは*.musabi.ac.jpで、これは武蔵野美術大学ではないかと想像するのですが、なぜここからのヒット数が多いのか見当がつきません。私のページのデザインが優れているのか?(そんなわけないよね)ご存知の方、教えてください!

追記:2月半ばまでに大分減りました.

 


2000年1月某日

筑波大学の経済学関係の研究者の発表した学術論文のページ数(標準化済み)は,東京大学についで日本では第2位です.これは,研究者一人あたりの数ではないので,東京大学の経済学関係のスタッフの数を考えれば,大健闘と言えるでしょう.しかし,日本の全体のレベルが低いので,あまり手放しでは喜べないが.参考文献はこちら


2000年1月某日

M井さんとの共同作品「ミクロ経済学:戦略的アプローチ」がいよいよ完成しそうです。3月には書店に並びます。みんな買ってね。

で,よせばいいのに4月に発売の経済セミナーの特集号に、「まんがでわかる経済学の考え方(仮題)」を、またM井さんといっしょに書くことになりました。みんな買ってね。

そのあとは何か、皆さんも知りたいですよね。次にやるのは、「インタラクティブ経済入門:コンピュータゲームをしながら経済入門」で、プレステ2で使えます。これはすごいですよ。正月にM井さんのうちで、酒を飲みながら話したところまでしか,作業は進んでいませんが。

追記: 3月ではなく,2月18日から都内の書店に並ぶそうです.つくばではどうなんだろう?初版は4000部のみなので,希少価値が出るかも。せめて「モーニング娘。」の100分の1くらい売れないかな。出版社は日本評論社、値段は2300円+消費税になるはずです。(追記の追記:2月22日に変更になりました。ぞろ目で縁起が良くなりました。)

追記2: ファイナルファンタジーの製作もとであるスクウエアが1月29日に発表したところによれば、FFXはプレステ2からネット上で仲間と一緒にプレーできるようになるらしい.漫画も配信するそうだから,いっそのこと教育まで手を伸ばさないものかな.

追記3: ファイナルファンタジーがどのようなゲームなのかはよく知りません

 


2000年1月某日

わたしが,なぜスターバックコーヒーに行くのか。コーヒーがおいしいからではなく,店内が禁煙だからである。

わたしがなぜ「かねき」で回転寿司をつまむのか。すしが絶品だからではなく,店内が禁煙だからである。

居酒屋に完全禁煙の居酒屋があればひいきにしたいが,つくばではまずありえないだろう。どんな豪華な食事も,周りでタバコを吸われたのでは台無しだとおもうから、自然と足は遠のく。

ここに大きなビジネスチャンスがあると考えているのは,わたしだけだろうか。

追記:ある読者から指摘されましたが、タバコをを吸う料理人もこの世に多く存在するので、「うちの料理人は煙草は吸いません」という宣伝も効果がありそうです。


2000年1月某日

こんな夢を見た。

カウンター席で、くしカツを食べながらビールを飲んでいると,隣に座っていた黒い革ジャンを着たパンチパーマのおっさんが,給料を倍にするからうちの大学にこないかという。倍になっても仕事も倍じゃいやだと言うと,優秀な専属秘書を2人つけるから,是非にという。そこで,筑波を辞めてその大学に移ることにした。自分のオフィスに行くと秘書の一人が出迎えてくれた。髪の毛は金色に染めて,舌足らずの妙な話し方をすると思ったら,浜崎あゆみであった。これじゃ,仕事にならないとおっさんに文句を言うと,もう一人はいい子ですよともみ手をして言う。

いったい誰だろう,とわくわくしていると,目がさめた。 

追記: ある読者からの意見「多分もう一人の秘書も女性なんだろうな(“いい子”が男の子だったら大笑い)。」 答え - 少なくとも、私はそう予想していました。知らず知らずのうちに,自分で職業における性差別をしてますね.でも、あのおっさんの顔つきからすると、男とは予想できないですよ、はい。


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